HappinessmitH

考えた事や感じたことは言葉にして残しとかないと忘れちゃうんですよね~

価値

 

 アサヒの極上キレアジが旨い。

 

 先日、同期のブログを拝読し、色々と共感した。めっちゃ分かるゥ!という箇所が多かった(バカっぽい言い方をお許しください)。その中でも知識を点、教養をその対角線と定義し、適切な複数の点を通る直線を引いて新たな点とするのが卒論(の理想)であるという箇所は、自分の中でそこまで言語化できていなかったもののなんとなく思っていたことを鮮やかに説明してくれたようで、とても良かった。また、点を選ぶ勘が大事で、突拍子のなさそうなところに対角線を引ける人間は強いという箇所は筆者自身がよく考えていたことでもある。今回はそのことについて、少し話したい。

 

 点の選択。そう、まさにこれが、現代を生きる上で凡人が意識すべきことだと思うのだ。

 

 ご存知の通り、現代の情報化社会においては、インターネットに接続できるデバイスを操る環境と能力が人並みにありさえすれば、大抵の情報やモノが手に入るし、ヒトとつながることも過去に比べれば遥かに容易であるはずだ。しかしこれは現代の中の現代に始まった訳ではない。遡れば大航海時代からヒト・モノ・情報の交流は爆発的に加速している。また、第二次産業における大量生産や飲食業界におけるチェーン店の快進撃も、欲しいものがいつでもどこでも手に入ることが時代の要請であることの証左となっている。

 ヒト・モノ・情報は手に入りやすい。しかし、経営資源と言われる中でもう一つ大事な要素であるカネだけは、(基本的には)簡単に手に入れることが出来ない。これはもう資本主義の摂理だろう。またカネを得るには、(不労所得を除けば)自営業だろうが株式会社で働こうが何らかの「価値」を提供するしかない。価値の対価として賃金が手に入る。

 一定の資源やノウハウが有れば、価値は生み出すことができる(商品の生産)。しかし、財・サービスの購入という形で実際にその価値を顧客に対して結実させる(商品の売約)には、当然ながら「差別化」が必要となる。当たり前すぎる三段論法により、自分/自社の提供価値を差別化できないとカネが手に入らないことが分かる。

 

 差別化の方法は物凄く大きく分けると3つある。一、価格を相場より低いものに設定する方法。二、自社の商品を購入しやすい環境を整えること。三、商品の内容を同業他者/他社のそれよりも優れたものにすること。このうち、二点目については先ほど触れた現代の潮流によりどんどん難しくなっていくだろう。

 となると、価格設定か商品内容で勝負することが重要になる。ただし、価格設定による差別化には当然、損益分岐点独占禁止法といった制約から来る限界がある。対して、基本的に商品内容は充実する分には特に規制を受けず、寧ろ歓待される。また、三つの方法のうち最も外部からの影響を受けにくそうだ。勿論、原材料の価格上昇など外部からの影響はいくらでも有り得るだろうが、商品内容の充実の本源は「発想」であり、これは無料だ(「発想税」などがあるディストピアがあったら面白いかも知れない。明日鑑賞予定の「華氏451度」はある意味でそれに近いだろう)。

 

 では発想による価値の差別化はどうすれば出来るのか。ここで冒頭の話に戻る。ここでは、点を提供価値として拡大して考えよう。(特に、普通の学士の)学術論文のキモというのはまさに点と点を直線結び、未だ存在しない点を導くことだろう。期待される新規性=価値の差別化とはそういうことだ。市場と同じように、学術の世界においても価値を結実させるには、すなわち卒論を受理されるにはこの価値の差別化が要件の一つとなっている。逆に、市場における発想による価値の差別化も、学術界と同様、複数点の選択による新しい点の発見という方法がかなり有力であると思われる。実際に今日、街は様々なコラボで溢れかえっている。もう一つの方法として既存の複数点によらずに全く新しい点をバンと打ち立てるというものがあるが、これはホモ・サピエンスが誕生してから20万年経ってしまった今日においてはおそらくもうほとんど不可能で、だからこそそれを成し遂げた人は産業界・学術界どちらでも天才と呼ばれるだろう。ただし、何をもって全く新しい点の創造と既存の複数点の延長とを区別するかという問題はある。論文の引用ルールを見るといつも思うのだが、どこまでが引用・援用・参考でどこからが自分の言葉なのかという明確な線引きは本来不可能だと思う。というか、たぶん厳密に考えれば我々の思考活動で完璧なオリジナルというのは有り得ない。まあ要するに、発想で差別化するにあたっては延長線作戦でよいのだ(というか、ほぼそれしかできない)。

 

 延長戦を引くには当然、複数の点を選択する必要がある。そして、その「組合せ」については、新しい点を打ち立てることができない99.99999%の人類すなわち凡人たる我々でも十分天才になれる可能性があると、筆者は思う。計算したところN角形に引ける対角線はN^2/2-(3/2)Nだ。まあ指数関数ほどではないがNが大きくなるにつれて引ける対角線の数は爆増していく。しかも、実際の点の分布はN角形ではないかもしれない。点がブワーっと分布されているかもしれない。こうなれば、単純に2点を選ぶ組合せとしてN^2/2-(1/2)N個の可能性があり、対角線よりもN個多いということになる。この世の大抵の分野=点には達人やマニア、専門家やプロと呼ばれる人たちが存在し、彼らを上回ることは殆ど不可能だ。出来るかもしれないが天才*1でもない限り一生を賭ける覚悟が必要だし、そもそも大抵の人はいかなる一点についてもそこでの頂点に到達しようとは思わない。つまり、天才・頂点になるN個の可能性は通常捨てざるを得ず、どの点でも必ず「自分(や自分の所属する組織)の上位互換」たる人間が存在するという事実が厳然と横たわっている。

 ただし、N^2/2-(1/2)N個の可能性がまだ残っている。Nがある程度大きければ、文字通り桁違いの数の可能性が残されている。とてつもない数なので、どれか1つの組合せを選ぶだけでオンリーワンになれる可能性が高い。その組み合わせを選んだ人が他にいたとしても、かなり数は絞られる筈だ。当然、そこでナンバーワンになれる確率はN個の既存の点を選ぶだけの時よりも遥かに高い。

 さらに、選ぶ点を2個から3個に増やせば組合せの総数はNの3次関数となる。もっと増やして行けば、もう手が付けられなくなる。我々が天才になれる可能性、いやそこまで言わないにしても、「差別化された価値を提供できる」可能性は、思ったより高くないだろうか。

 

 ただし一点注意しなければならないのが、「陳腐な組合せもある」ということだ。類似していて選ばれやすい組合せというのは確かにある。それを選んでも差別化された価値は提供できないだろう。選ぶこと自体にマイナスはないが、更に別の、意外な一点を加える必要がある。

 だから、斬新な組合せが求められるのだ。無数の選択肢の中から、ありそうでなかった、いやこの際、なさそうだし実際なかった組合せでもいい、そういった組合せを取り込んでいくことで我々は価値を発揮できるのではないか。これは何もビジネスやアカデミックな世界に限ることではなく、日常生活というレベルに拡大しても同じだ(というか、途中から明言することなくそちらを想定して書いていた)。点を人生経験として更に拡大して考えれば、基本的には数年生きただけで人は誰でもオンリーワンの組合せを持っている状態になる。順番という概念を導入すれば尚更だ。この意味で誰しも生きているだけでオンリーワンである。

 

 でもその事実に甘んじずに、より独特な組合せを取り入れて生きていけたらいいなと筆者は思う。途轍もなく漠然としているし、その為に何か意識的にしていることがあるわけでもないが。ただ、そのためにそもそもの「点」に色々と出会いたいというのは、前も書いたが今目指していることである。そういえば、躰道を選んだのも体操と武道という組合せに価値を感じたからというのは間違いなくあったな。あとこれは恐縮なんですが、このブログも「考察×音楽」というところでvalueを発揮したいと思っています。

 

 今日書いた価値についての話は産業、学術に加えて対人関係や芸術の領域でも全く同様に当てはまります。特に音楽なんてものは本当に影響してされての繰り返しで非常に面白いですね。比較的身近?なところだとBABYMETALなんて分かりやすいですね。バリバリのメタルとアイドルの組合せ、これは確実に(少なくとも)新規性は最高だったと思います。今回の曲も、組合せが面白いなと思ったものを選びました。まあ安直と言われればその通りなのですが、1:55辺りから日本語が入るEDMです。たとえば今話題のQUEENなんかもTeo Toriatte(手を取り合って) という一部日本語の曲を書いており別に海外のアーティストが日本語を取り入れることは珍しくもなんともないのですが、今回の曲は日本語パートが前後の流れとよくマッチしていて個人的にとても好きなので紹介します。...というか、今聞いてたらTeo Toriatteもとても良い曲だと思ったので2つ載せます。それではどうぞ、

 

KSHMR - Sleepwalk - YouTube

Queen - Teo Torriatte (Let Us Cling Together) - (Official Lyric Video) - YouTube

 

 

 

*1:本文中、3つの異なる意味で天才という語を用いた。全く新しい点を打ち立てる人、一点の能力が極めて高い人、想像を上回る点の組合せを発見する人の3種類だ。